コラムコラム

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父母の生き方 僕の最高峰

2020.09.14

 

「ありがとう」

 

全身をがんに侵され声も出せなくなった母が、息を引き取る直前に口の動きで僕に伝えくれた言葉が今の僕の出発点です。

 

札幌市内の病院で「もう治療法はない」と言われ、実家近くの病院も転院して三カ月後でした。母五十五歳、僕は十七歳。

 

僕は、廊下で夜が明けるまで泣き続け、母に誓いました。

 

「最後に『ありがとう』と言ってこの世から去れる人間になる」

「決して弱音は吐かない」

 

(中略)

 

父はぼくが小学五年生のとき「温泉のないこの町に温泉を掘ってじいさんばあさんい喜んでもらう」と宣言。

 

街を流れる川の河原に冬でも雪が解ける場所があり、そこから温泉が出るという伝説があったのですが、太いパイプを打ち込み始めたんです。

 

近所の人から「バカなことを」と冷笑されてもあきらめず、五年後、本当に掘り当てました。現在はそこに町立の温泉施設ができ、父はその隣でホテルを経営しています。

 

「生きるとは、夢を持ち、行動すること」

 

父の背中に教えられました。「なりたい自分」を持ち続けられる人が成功するんだと思うんです。

(東京新聞 2010年2月21日(日)「家族のことを話そう」より抜粋)

 

エベレストに8度挑戦し、35歳で亡くなった登山家の栗城史多さんの言葉です。栗城さんは登山家でもあり表現者でもあったと思います。

 

よく人生は登山に例えられます。しかし、それは一つの山を登ることを指すのではなく、山に登る前の準備から、登れなかった後に何をするかまでの一連の活動が含まれます。

 

栗城さんは、資金やスポンサー集めのためにクラウドファンディングなども行っていました。そういった活動を通して支援者自身の”人生の登山”を応援していたようにも思います。「生きるとはどういうことか?」それを背中で見せてくれた方でした。ご両親の生き方や考え方も影響していたのだと思います。

 

栗城さんの言葉を再度引用します。

人は誰もが見えない山を登っています。山とは、自分の中にある夢や目標です。

 

山に大きいも小さいもないように、夢にも大きいも小さいもなく、自分のアイデンティティーそのものです。

 

その自分の山に向かうことを誰かに伝えると、否定されたり馬鹿にされることもあるかもしれません。

 

しかし、今まで挑戦を通して僕が見てきた世界は、成功も失敗も超えた「信じ合う・応援しあう」世界でした

 

引用 https://camp-fire.jp/projects/view/5795

コロナ禍で見えないものが余計見えにくくなってきています。そのストレスがネット上の誹謗中傷や○○警察といった行動に現れているのかもしれません。

 

それでも、誰かの挑戦を信じ、応援しあう世界を見ていきましょう。山に大きいも小さいもないように、人生に良いも悪いもありません。

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -