コラム
2020.06.27
「一番幸福な人は、他人の手柄を感じることができて、他人の楽しみを自分の楽しみのように喜べる人」
これは、ドイツの有名な詩人で小説家であるゲーテが残した名言です。
相手が喜んでいるのを自分のことのように喜ぶ事ができる人というのは、いっしょにいて温かい気持ちになります。一方で、他人の幸せを妬んだり、ひがんだりする人というのは、いっしょにいても良いことはありません。そういう人に限って、自分が苦しいと思う経験を他人にも味わわせたいという感情を持つ人もいます。
「自分と同じ苦しみを味わわせたい。」
という潜在的・顕在的な欲求が人には少なからずあるのではないかということです。
あなたは、どんな風に考えますか?
以前、ある交流会で知り合った経営者のAさんと話していた時のこと。社員が定着せず、業績も低迷しているとのことでした。
私:
「どんな会社にしていきたいですか?給料も休みもたくさんあげる会社を目指したいですね。」
Aさん:
「理想ばかり言ったってダメですよ~。賞与もないような大変な会社もたくさんあるんですよ!」
そんな会話がありました。
Aさんは、自分の会社がうまく行っていない原因を「他の大変な会社」にすり替えることで、満足しているんですね。どうして、あえて自分の会社のレベルを下げるような考えを持つのでしょう?
こういう光景は、実は結構いろんなところで見られます。
子どもが親に向かって、
「僕は○○になりたいんだ!」
と言ったときの親の反応として、
「何を甘いことを言っているの?世の中にはもっと大変な人がいるのよ。」
と言うことがあります。私もそんな言葉をよく聞きました。
確かに、世の中には大変な人はいっぱいいます。でも、その事を理由に子どもの夢を抑え込むことには違和感を覚えます。おそらく、その親も自分の親から同じようなことを言われ、夢や理想を描くことにブレーキをかけるクセが自然と身についたのかもしれません。
「同じ苦しみを他人には味わせる」
この連鎖を絶ちきるにはどうすればよいのでしょう?例えば、こんなことを意識してみてはいかがでしょうか?
アメリカの神学者、ラインホールド・ニーバーの言葉を借りれば、
変えられるものを変える勇気を、
変えられないものを受け入れる冷静さを、
そして両者を識別する知恵を与えたまえ
もう他責の人生を送るのはヤメにしませんか?