コラムコラム

企業活動の見える化をきちんと理解していますか?

2020.06.28

あなたの会社の可視化レベルはどのくらいでしょう?

 

可視化レベルが高いほど、企業としての目的・目標への意志統一や、社内・社外の環境変化への順応性が高いと言えます。スピード経営が求められる今日、自社の「見える化」がどの段階にあって、どの段階を目指すのかを知っておくことはとても重要です。

 

しかし、見える化といっても、何をどのように見える化するのか悩む方は多いと思います。オフィスの仕切りをなくすとか、工場での業務手順をつくるとか、そんなことを闇雲にやってはいないと思いますが。

 

まずは、企業活動を可視化する対象(範囲)は、バリューチェーン、組織間の情報共有・連携、新製品開発など自社が重点的に強化したいものを選ぶとよいでしょう。

例えば、組織としてサービスを提供することの可視化について簡単に概略を書いておきます。実際は、順番通りにきれいに進むことは少なく、同時並行でいくつかの段階を見る必要があります。

 

第1段階:「戦略の可視化」
「どこで勝負するのか?」「何をして、何をしないのか?」「誰にどんな価値を提供するのか?」「他社にはまねできない独自の組織能力は何なのか?」といった会社の進むべき方向性と独自の強みを徹底的に考えます。そして、社員間でしっかりとその内容を共有することが重要です。

 

第2段階:「業務プロセスの可視化」まずは、自社にどんな業務があり、どのように流れているか整理しましょう。商品、サービス、情報、お金、ステイクホルダとの関係を考えます。ターゲットとする顧客の分類もします。

 

第3段階:「役割と責任の可視化」
業務プロセスが明確になったら、誰がどんな役割と責任範囲を持つべきか検討しましょう。

 

第4段階:「実績の可視化」
自社の実績を見える化します。
どの実績情報をどのように見せ、何を分析し、その結果をどのように活用するか事前に確認しておきましょう。グラフやアラート機能を上手く活用しましょう。

 

第5段階:「計画の可視化」
営業計画(マーケティング計画も含む)に関する情報を社員間で共有できていますか?チェックする指標は、中期計画・年間計画での取り組みテーマと連動させるべきですし、「実績の可視化」と整合性が取れるようにします。

 

第6段階:「問題の可視化」
多くの中小企業は、第5段階か第6段階までは(一部でも)できていると思います。
いくつかの問題は表面化していますが、レバレッジの効く、現在取り組むべき課題は何なのか?が分からずに場当たり的に対処しているケースが多いようです。

 

第7段階:「成果の可視化」
営業活動管理のPDCAが確立し、実施した活動の成果が見えている状態です。継続的な改善が進んでいます。新しく組織体制を構築する場合は、役割と責任も見直しし、評価体系を改め、何らかのインセンティブを与える必要があるかもしれません。

 

と、書いてきましたが・・・

実は、企業活動を盲目的に見える化してはいけないのです。

 

どういうことかというと、見える化する、可視化するというのは、社内で共通認識を持つためのルールや文書のことだけを言っているのではありません。

 

お客やライバル会社には、財務諸表やオフィス、商品・サービスそのものや、社員の応対などは見えますが、その裏にある思想や哲学、仕組み、セールスストーリーは見えません。その見えないものを社内と社外へどのように見える化するかが大事なことなのです。

 

現代思想の一つに、「物事が言っていることではなく、言っていないことを見よ。」というものがあります。リーダーであるあなたがやるべきことは、組織の中にある見えないものに新しい考え方(価値)を注入して、言葉にしていくことです。

 

何のための見える化を行うのか、しっかりと考えるようにしましょう。

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -