コラム
2021.07.29
東京五輪が開幕しました。
人生をかけて準備してきた選手たちのパフォーマンスや言葉というのは、一点の曇りもなく、とても力強いです。「金メダル」という言葉をたくさん目にすると、不安に包まれた「コロナ」という言葉が少し浄化される気がします。
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「サラリーマン漁師」というのをご存知ですか?
高知県東部、室戸市で定置網漁を行っている椎名大敷組合が県外からの移住者を募るために打ち出したアイデアです。勤務時間が決まっていて、固定給。漁れ高に応じてボーナスもあるという働き方です。
農林水産業と言えば、危険・きつい・汚いのいわゆる「3K」などと言われ、若者には敬遠されがちな職業です。それも見方を変えればそうとも言い切れない時代になってきました。
昭和、平成時代まではサラリーマンという働き方が、代表格でした。経済げ右肩上がりで、企業も社員を定年まで面倒を見てあげるモデルがあったわけです。
結婚をして、住宅ローンを組んで家を購入し、老後は年金暮らし。そんな生き方を多くの人が目指していました。大多数の人がやることを人は「常識」「普通」と呼び、少数の人がやることは「非常識」「異常」と呼んでいました。
しかし、令和に入り確実にその「常識」「普通」が変わりました。
「これをやっていれば大丈夫」と誰かにそそのかされるような生き方などなくなったのです。全員にとって当たり前の働き方や生き方などないのに、いつの間にか当り前と思ってしまう恐さがあります。
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怪しい投資信託のような低リスク高リターン商品。
そんな夢のようなことはもう実現しません。
社員の皆さんは、まずそのことを受け止めましょう。
サラリーマンとして働くなら、
のどちらかを目指すしかありません。
優秀な人材は、高額な報酬を手に入れるために、より良い職場を求めます。
普通の人材は、ほどほどの報酬と生涯雇用を手に入れることを望みます。
優秀な人材は、高リスク高リターン。
普通の人材は、中リスク中リターン。
あなたはどちらを目指しますか?
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ただし、普通の人材も中リスク低リターンになる人が増えるかもしれません。
ごく一部の優秀な人材にお金が集まるのは、現在の資本主義社会の中では致し方ないかもしれません。では、他に道はないのでしょうか?
あります。
それは冒頭の「サラリーマン漁師」ではないですが、従来の常識を反転させる働き方を目指すことです。不安定な働き方に安定を安定した働き方に不安定を取り入れてみることです。
ブラックジャックのように、特別な専門性を武器に自分で仕事を選ぶ働き方。
会社と契約をして、週の半分は自分がやりたいことに没頭するような働き方。
後継者に悩む小さな会社を買い、会社を経営する働き方。
不足している、あるは余っている人材と資源が露わになってきている今だからこそ、サラリーマン漁師のような働き方を考えるのも良いのかもしれません。
あなたは、人生のリスクとリターンをどのように考えますか?