コラムコラム

”Pauca sed Matura”(少数なれど、熟したり)~10年前に書いた中小企業と個人の成長に関する論文~

2025.10.02

これは、2015年に私が一般社団法人日本販売士協会の登録講師論文で最優秀賞を頂いた文章です。10年前に書いたものですが、その内容はいまだに役立つ部分があると思い、シェアさせていただきます。

 

現在、日本の中小企業(大企業も!)が直面する状況はかなり厳しいと言えますが、欧米式のマネジメントスタイルを必死に追いかけてきた時代はもう終わり、地域の中小企業、アトツギ企業、個人事業には、大きな可能性があると確信しています。

 

私の会社も昨年創業100年を迎えました。私が会社に戻ってきたのは15年前でしたが、事業活動の再構築やブランディングを「物語」として社員にもお客様にも伝え続けてきたことが、少しずつ実を結んでいます。

 

カール・フリードリヒ・ガウスの言葉、”Pauca sed Matura”(少数なれど、熟したり)ではないですが、小さきものには、小さきものなりの輝き方があるのではないかなと。

※調査結果や参考文献などは、日付が古いままですので、現在の実情と異なることがあります。


「地域密着の中小企業・小規模事業者に求められる視点」~組織と個人の成長を支援する販売士を目指して~

はじめに

内閣府発表の月例経済報告によれば、「景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」 とある。また、地域経済動向の景況判断は、「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動も和らぎつつある。」 となっている。

大企業も含めた全業種を横断したマクロ的視点に立てば、政府の見解もおおよそその通りなのかもしれない。しかし、一中小企業を経営する立場に身を置く私としては、全くそういった実感はない。周囲の中小企業経営者からも同じような声が返ってくる。

 

人、モノ、金、情報が国境を越えシームレスにつながる今日においては、スケールメリットを最大限生かそうとするグローバル企業やITネットワークを駆使した企業が台頭してきている。そのような環境下で、日本の中小企業・小規模事業者が今後どのように生き残ることが出来るのか、私自身が出来ることは何なのか、ということを強く考えるようになった。

 

本論文では、まず、私が住む埼玉県狭山市を例にとりながら、日本の中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化を俯瞰する。次に、私自身の実体験も交えながら、中小企業・小規模企業の経営者が抱える経営課題を整理する。そして、それらの経営課題に対応しながらも自社独自の売る仕組みを構築していくためのフレームワークを紹介する。さらに、中小企業・小規模事業特有の課題を「組織の成長と個人の成長の両立」という別の角度から論じることで、新たな販売士の位置づけを模索する。最後に、これからの中小企業・小規模事業のあり方を提言したいと考える。

 

中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化

第2次安倍内閣でも地域創生を重要課題として位置づけるなど、人口減少社会における地域経済の活性化は喫緊の課題である。また、2014年度版中小企業白書の中でも、”小規模事業者”と”地域”をキーワードにしており、地方と小さな会社の存続は欠かせないことがうかがえる。しかし、中小企業・小規模事業者の企業数は直近の3年間で35万社減少していることからも、現実は非常に厳しい。

 

私が住む狭山市も例に漏れず、少子化、高齢化が進み、地域産業の落ち込みが顕著になってきている。幼少の頃、地域のメインストリートであった入間川七夕通り商店街には、家族経営が主体の薬局、米店、酒店、おもちゃ屋など多くの店が軒を連ねた。しかし、現在はその面影はなく、大部分のお店は閉店してしまった。周辺に品揃えや利便性で勝る大型スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア、カテゴリーキラーの専門店が次々と出店したためである。何とか営業を続けているお店もあるが、後継者がいない高齢の経営者が趣味程度にやっているところも多い。

 

また、狭山市内には川越狭山工業団地、狭山工業団地を有し、本田技研工業などの大企業が製造拠点を構えたことで、子会社、関連会社などを含めた企業城下町として栄えてきた。一事業所あたりの製造品出荷額が近隣他市よりも圧倒的に高く、安定した法人税収入で市の財政も潤い、雇用も生みだしてきた。しかし、多くの大企業が国内の製造拠点を集約したり、人件費の安い海外に移したりしたことで、家族経営で切り盛りしてきた金属加工業や金型製造業など多くの会社が倒産・事業縮小を余儀なくされている。

 

このように、世の中の大きな流れに取り残され、個店としての魅力を失った商店や、大企業に依存した下請け取引構造から抜け出せない中小製造業が多い狭山市は、今日の日本の中小企業の現状を映し出す縮図と言えるのかもしれない。

 

中小企業・小規模事業が抱える課題

2章で述べたような経済・社会構造の変化を踏まえ、ここでは、中小企業・小規模事業が抱える経営課題を見ていくこととする。

 

中小企業・小規模事業者の経営に関心を持ったのは、私自身のキャリアとも大きく関係している。製薬メーカーなどを経て、市場調査会社ではPOSデータと消費者購買データをもとに消費財メーカーに対して市場動向やプロモーション戦略をアドバイスした。その後、外資系コンサルティング会社ではマーケティング戦略策定、営業組織改革など、主に顧客関係管理(CRM)のプロジェクトに従事した。

 

そして、約5年前に、祖父の代から続く資源リサイクル事業を営む会社に入っている。創業は大正13年、従業員は20人ほどの規模であり、地域に密着した典型的な中小企業である。 大企業から地元の中小企業へ、組織の一員として雇われる側から組織を経営する側への転身は、私にとって非常に大きなチャレンジであり、苦悩と葛藤の日々が続いた。国内と外資、大企業と中小企業と、特徴の異なる企業で営業・マーケティングを経験した中で、今まで当たり前と思っていたことがほとんど通用しなかった。市場の分析、自社の強みと今後の方向性出し、業務と役割の整理、営業活動計画の作成、売上データの見える化、社内外コミュニケーションツールの整備、プロモーション媒体物の作成など、マーケティングに関わる活動が組織に浸透していなかったのである。

 

本年度の中小企業白書によれば、小規模事業者の経営課題として、「既存の営業力・販売力の維持強化」、「国内の新規顧客・販路の開拓」が上位に来ている。3 やはり、売る力を醸成できていないというのが、多くの中小企業経営者の本音なのであろう。資金繰りの問題も依然大きな問題ではあるが、資金があっても売るモノ、売る仕組みがなければ結局は企業の成長にはつながらない。伸び悩んでいる中小企業経営者は、数字を見る目とマーケティングに関する知見が乏しいというのが、私個人の実感であり、その部分を販売士として支援していきたいと考えている。

 

そこで、中小企業・小規模事業者の主な経営課題を経営層と現場、短期と中長期という軸で分類してみた。 これらの経営課題のどれから優先的に取り組んでいくかは、各企業の目指すものや経営資源によって変わってくるが、中小企業経営者が自社の企業活動の構成要素を包括的に見るためのフレームワークとして、「成長の木」というものを考えた。 「成長の木」の構成要素には、網羅性を担保するための視点を含めているが、必要に応じて修正していけばよい。

 

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中小企業が抱える主な経営課題

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成長の木

 

中小企業、小規模事業者の中には、自己流でやってきたが、売るための仕組みが確立されておらず、場当たり的に行動している経営者が少なくない。私が地元に戻って痛切に感じたのは、会社の戦略や組織マネジメントが成熟していないと悩む、または家族経営から脱却できないワンマン社長や後継者が多いということである。

 

多くの中小企業経営者は、売上が低下すると、まず思い浮かぶのが値下げやプロモーションであろう。特売キャンペーンや品揃えの見直し、POPの変更、チラシや広告の投入、ホームページの改善などに目が行きやすい。最近ではSEO対策やSNS活用などが人気である。これらの取り組みは、短期的に効果が出ることがあるかもしれないが、多くの企業がやっていることであるし、持続的な優位性を保つ解決策とは言えない。しかし、目に見える成果をすぐに求めたいという企業はこれらの短期的な売上改善策に飛びつき、結果が出ないとまた他の方法を探そうとする。打ち出の小槌のような施策が見つかると信じても、そんなものはないのである。

 

「成長の木」

そこで、「成長の木」を自社の会社経営と売る仕組みの構築に活用してほしいと考えている。「成長の木」の詳細な説明は本論文では割愛するが、構成要素を大まかに見ると、「存在意義」「戦略と戦術」「価値の源泉」に分けられる。

 

「存在意義」は、文化(ライフスタイル)、ミッション、ビジョンなどを含んだものである。なぜその事業を行うのか?社会的にどんな存在意義があるのか?将来、どんな社会を目指し、自社はどのように貢献したいのか?といった問いに答えなければならない。

 

「戦略」とは、端的に言えば、他社との「違い」をつくることである。「違い」をつくるためには、「どの市場で戦うか?」「何をするかしないか?」を決める必要がある。これは、経営者の意思と決断を伴うものである。

 

一方、「戦術」とは戦略を実行するための具体的な施策であり、マーケティングの4Pのことである。例えば、「客足が最近減ったので、競合がやっているようにチラシをまいてみよう(戦術)」ということでは、場当たり的な対処療法で、一時的に効果が出るかもしれないが、長くは続かない。多くの中小企業経営者は、「戦術」ばかりに目が行っているように思えるが、大切なことは「戦略」と「戦術」に一貫性を持たせることである。

 

「価値の源泉」である「業務プロセス」「組織・ヒト」「情報システム」は、会社の戦略と戦術を支える社内の共有基盤であり、商品やサービスを通して、自社の顧客に対して価値を提供するための土台である。これらの要素は、通常、顧客には見えにくいが、企業の努力と工夫により大きく差が出る部分だと考えている。また、「価値の源泉」の根幹を成すのは人間であることを忘れてはいけない。

 

「成長の木」というフレームワークを使うことで、自社の企業活動の全体像をいつでも俯瞰でき、日々の業務に忙殺されている中小企業経営者に対して、持続的に成長するための視点を与えてくれると考える。一経営者として、販売士として、私自身もこの「成長の木」を使いながら一社でも多くの会社の収益改善に貢献したい。

 

ここで、企業の存在意義は文化、ライフスタイルの創造に帰結するという事例を一つ紹介したい。東京都墨田区にあるフットマーク株式会社の前身で、従業員数人だった磯部商店という会社はもともとおむつカバーをつくる衣料品メーカーだったが、市場の縮小を感じ、新たな分野として水泳帽を使ったプール教育に目を付けた。

 

それまでプールで泳ぐ習慣がほとんどなかった児童生徒たちと、彼らを指導する体育の先生たちに、水泳帽が便利に使用される方法を考えた。水泳帽を色分けすることでグループ分けを容易にし、「泳力」という概念を打ち出し、プール教育の成果を評価した。そうした水泳帽の使い方からプール教育の成果の評価方法までをカリキュラムにし、全国の小中学校に社員総出で売り込みの手紙を送った。単に水泳帽というモノを提供するのではなく、水泳帽をかぶる習慣・文化を創造していったのである。

 

フットマーク社の事例は、資本力や技術力に恵まれていない小規模企業でも、それまで世の中になかった新しい文化を構想し、提案し、普及させることで、人々がそれまで消費していなかったものを消費する社会を作り変えることは可能だということを教えてくれる。

 

組織と個人の成長

4章では、組織が成長するための仕組みとして、「成長の木」というフレームワークを活用し、マーケティングを中小企業・小規模事業者にもっと根付かせたいと書いた。本章では、少し視点を変えて、中小企業、とりわけ家族経営やオーナー企業が抱える問題である、組織の成長と個人の成長の両立というものについて論じてみたい。

 

「企業は人なり。」この言葉に反対する人はいないだろう。ただし、経営者の視点と社員の視点で見ると、その言葉の意味合いは変わってくる。企業は、経営者と社員の集合体であるが、それぞれが求めている価値観は異なるのである。

 

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組織の成長と個人の成長の両立

 

中小企業経営者はどちらかと言えば、【組織の成長】>【個人の成長】になる傾向があるだろう。企業を存続させるために、経営者は売上、市場シェア、企業価値、社会的信用、雇用を拡大させることに目を向ける。一方、社員は、【組織の成長】<【個人の成長】という関係性になる。給料、役割、責任、仲間、やりがいのある仕事、プライベートへの影響といったものを企業の中で働くという行為を通して、追求しているのである。

 

そういった両者の価値観の違いを認識した上で、企業と個人が、持続的に成長し、生き生きと幸せになるためには、企業の成長と個人の成長をなるべく近づけていかなければならない。そのためには何が必要なのかという問題意識を持つようになった。

 

今までに私は企業の大小を問わずに、経営者が抱える問題解決に取り組んできたが、うまく行かないことも多々あった。プロジェクトの対象範囲を見誤ったこともあれば、当事者の共通認識が十分に取れていなかったこともあった。そして、一番肝心なことは、新しい取り組みをまわすための仕組みづくりのほうにばかり目が行き、当事者、特に経営者の気づきや、物事に対する見方や心構えについて十分なサポートが出来ていなかったということであった。それは、現在、私が自分の会社で日々の経営課題に試行錯誤しながら取り組む中で、実体験として感じるものでもある。

 

そこで、個人が成長するための気づきを得る手段として、コーチングというものを活用していきたいと考えている。コーチングは、対話を通して、経営者や社員に対して、新しい“気づき“を与え、目標達成に必要なスキル、知識、考え方を認識させながら、自発的な行動を促していくコミュニケーションである。

 

コーチングは販売士が習得すべき知識には含まれていないが、私は中小企業が持続的に成長するために、”仕組み”と”気づき”の両輪で、個人や組織のパフォーマンス向上に貢献していきたい。そのためには、マーケティングとコーチングが必要不可欠であると信じている。

 

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マーケティングとコーチングの両輪

これからの中小企業・小規模事業のあり方

グローバル経済が進んだことで、企業は、営業時間の拡大、販売チャネルの多様化、低価格と高品質の両立などを実現するために、M&Aによる経営資源の拡充や業務の効率化・合理化などによるスピード経営を目指すようになった。

 

そういった目まぐるしく変化する環境の変化に取り残される形で、地域の商店や中小企業の多くが廃業や経営危機に直面している。商品力不足、販売力不足、後継者を含めた人材不足の問題もあるだろう。

 

そんな難しい時代を生き抜くためには、自社の強みと価値を徹底的に磨く以外にない。他社と差別化していく上での戦略軸としては、(1)「低価格とスピードの卓越性」、(2)「製品とサービスの革新」、(3)「顧客との親密さの深耕」がある。

 

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戦略の差別化軸と戦術の一貫性

 

「低価格とスピードの卓越」は、端的に言えば、「早い・安い・便利」を追求することである。大型設備に積極的に投資して、徹底的な効率化とコスト削減を図り、商品開発から生産、流通、販売まで全ての面においてスピードを重視する。「製品とサービスの革新」は、最高の品質、最新の技術を駆使し、良いモノは高くても買っても良いと思っている顧客のための差別化戦略である。最後の差別化軸である「顧客との親密さの深耕」は、お客のわがままや好みに徹底的に応えていく戦略である。

 

大切なことは、この3つの差別化戦略とマーケティングの4Pである戦術に一貫性を持たせるということである。今日の日本は全体的に見れば成熟市場で、一定レベル以上の製品やサービスが市場にあふれかえり、品質や価格で長期間他社を凌駕することが難しくなっている。例外はあるものの、「低価格とスピードの卓越」と「製品とサービスの革新」は大企業や成長市場での戦略である。ゆえに、経営資源や販路が限られている中小企業・小規模事業者にとっては、「顧客との親密さの深耕」を追求していくことが、目指すべき方向性になるであろう。

 

「顧客との親密さの深耕」では、きめ細やかな個別対応、オーダーメイドの商品やサービスづくりを目指さなければならない。大企業とは逆を行く、非効率で手間暇のかかることにビジネスチャンスを発見できる可能性がある。また、地域に根を下ろす企業であれば、環境・教育・福祉・健康・公共サービスなどの分野で問題解決につながる「場」づくりを丁寧にしていくことで、将来の顧客になりうる市民との関係性も生まれていくのではないであろうか?一店舗、一企業だけでは品揃えも販路も限られてしまうので、異業種連携やバリューチェーンを数社で補完・強化することも忘れてはいけない視点である。

 

吉祥寺に日本茶カフェの「おちゃらか」というお店がある。 フランス人の店主ステファンさんはもともとソムリエで、日本茶にワインのような物語を見い出し、「目」と「鼻」と「口」で楽しめる日本茶を開発したのが起業のきっかけだそうである。日本茶と様々な植物の葉をブレンドさせ、夏みかんやラフランス、さらにはほうじ茶チョコミントといったフレーバーまである。私も数種類試したことがあるが、今までにはないお茶で非常に新鮮であった。

 

ステファンさんは、単に斬新なフレーバーティーを販売するだけでない。(1) 生産地まで赴き、農家から直接買い付けをする。(製造者と販売者のつながり)(2) 顧客を生産地へ連れていくツアーを企画する。(製造者と消費者のつながり)(3) 大学と組んでお茶の効能や文化を広める活動をしている。(販売者間のつながり)という3つのつながりを実践してきている。

 

本来自社が関与するバリューチェーン上の機能の枠を超え、「顔の見える会話」をしているところが素晴らしいところであり、販路拡大に活路を見出せない中小企業・小規模事業者が学ぶべきことは多い。

 

製品ライフサイクルの短縮化に伴い、バリューチェーンを効率化・短縮化する動きが加速しているが、製品やサービスに「物語」を込めていくには、関係者の間での「顔の見える会話」が必要である。バリューチェーンを「短く」することも大事だが、「太く」することはそれ以上に重要である。その「物語」と「顔の見える会話」をどう社内で仕組み化していくか、そこに私の販売士としての存在価値があると信じている。

 

私が住んでいる街は狭山茶の名産地であり、町にはたくさんのお茶屋があるが、伝統に縛られ、顧客の多様化、国際化の波に乗り遅れているように思える。しかし、ステファンさんは日本茶をワインと見立てて、新しい価値を付加して、需要を掘り起こした。これは、4章で紹介したフットマーク社の取り組みと通じるものがある。

 

伝統とは、今までのやり方に固執することではない。譲れないもの、強みになるものを磨きあげ、さらに顧客の視点で新しい魅力を付加していくことなのである。

 

まとめ

地域の中小企業経営者の相談相手としては、税理士・会計士が多い。銀行、信用金庫などの金融機関もビジネスマッチングや交流会を開催し、販路開拓支援を積極的に行っている。そんな中、販売士は流通・小売業では一定の認知度があるものの、中小企業経営者にはその存在すら知られていないことも多い。市町村や商工会議所が中小企業を支援する専門家としても販売士の位置づけはまだまだ低いように思える。そんな状況を変えていきたい。

 

私は、マーケティングとコーチングを活用して、組織と個人の成長を支援する販売士というものを目指してみたい。マーケティングは、売れるための仕組みづくりであり、直接的に業績向上に貢献するものである。一方、コーチングは、行動を促すための対話であり、間接的に業績向上に貢献する。商品・サービスの売り方、売れ方が近年大きく変化しており、販売士のあり方も問われているのである。

 


【参考文献・補足】
内閣府 (2014)『月例経済報告 2014年9月』
内閣府 (2014)『地域経済動向 2014年8月』
中小企業庁 (2014)「中小企業白書2014年度版」中小企業庁
第3次狭山市総合振興計画後期基本計画 狭山市ホームページ
http://www.city.sayama.saitama.jp/shisei/shisaku/shinko/sinkoukeikakukouki/
奥富興産株式会社ホームページ http://www.okutomi.co.jp/ (2015年1月1日現在)
佐藤義典 (2005)「図解 実戦マーケティング戦略」日本能率協会マネジメントセンター
三宅秀道 (2012)「新しい市場のつくりかた」東洋経済新報社, pp.96-107.
Michael Tracy and Fred Wiersema (1993) “Customer Intimacy and Other Value Disciplines,” Harvard Business Review, p.84-93
佐藤義典 (2009)「売れる会社のすごい仕組み」青春出版社, pp.61-65.
株式会社おちゃらかホームページ http://www.ocharaka.co.jp/ (2015年1月10日現在)

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -