コラム
2021.08.12
東京五輪が終わりました。
柔道、卓球、サッカー、野球などのメジャースポーツの他に、スポーツクライミング、空手、スケートボード、フェンシングなど今まであまり観る機会がなかったスポーツもたくさん観ることができました。
こんなコロナ禍でも、世界中から多くのアスリートに来ていただいて、いろんな不安がある中でパフォーマンスを見せてくれたことに心から感謝したいと思います。
五輪最終日の男子マラソンは本当に心が震えました。
優勝した世界記録保持者のキプチョゲ選手は異次元の走りでしたが、私がずっと気にしていたのは大迫傑選手です。日本記録保持者である彼が、この大会が現役最後の走りだと公言したのです。
年齢的にはまだ走れるとは思いますが、彼の中で東京五輪を最後にしようと覚悟を決めた。覚悟を決めたから、あのような気迫の走りができたのでしょうか?
レース後、大迫選手は、こんな風に言っています。
「やりきった」という気持ちがすべて。皆さんにメダルを期待してもらって、僕自身もチャンスがあればと思っていたが、(どの選手も)みんなメダルを目指して走っていたので、今回はそのチャンスがなかった。ただ、自分自身の力はしっかりと出しきれたのではないかと思う。」
*
「やり切った」
「出し切った」
そういう感覚を普段持てているかと自問自答しました。
「まだできるのに、慣れから甘えている部分はないか」
そんな声が聞こえてきました。
あなたはどうですか?
日々の仕事でやり切った、出し切ったという感覚は持てていますか?
コロナ過でテレワークやオンラインでの会議などが増えたと思います。人との出会いも以前より減っているのではないでしょうか?
それでも仕事は流れていると思いますが、身体やメンタルに大きな負荷をかけなくても仕事ができているというのは、もしかしたらあなたの成長を鈍化させている可能性があります。呼吸も目一杯吐かないと、たくさんの新鮮な空気を吸えないのと同じです。浅い呼吸では身体の機能を十分に使えないのです。
医療従事者やエッセンシャルワーカーは、次から次へとやってくる患者や仕事への対応に追われ、普段以上に力を出さないと仕事が終わりません。身体を使う仕事であれば、仕事の量が増えれば疲労感を感じられるでしょう。
でも在宅ワーカーや決まった仕事だけをしている方は、「やり切る」「出し切る」という環境をつくるのがなかなか難しいかもしれません。
それでも、どんな仕事であっても「考える」ことに制限はありません。
「一番伝えたいことを極限まで削ぎ落とす」
「伝える相手の考えをとことん想像する」
といった気遣いは誰にでもできます。
その気遣いに「やり切る」「出し切る」を含めてはいかがでしょうか?
自分の持っている力を出し切ると、本当に心から感謝できるのだと思います。
東京五輪に出場した選手のほとんどが、感謝の言葉を伝えていましたが、あれは自分が持てる力を全て出し切ったから出る言葉なのだと思います。
私もまだまだやり切っていない、力を出し切っていないことがたくさんあります。
東京五輪を見て、改めてそう感じた次第です。