コラムコラム

利益も賞与も使いよう

2022.06.28

梅雨があけましたね。とにかく、暑いです。体調を壊していませんか?夏バテしないように、対策を考えていきましょう。

 

先日、ある経営者と話をしました。6月は決算月なので、節税対策で何か良いものはないかといった話と、賞与を決めるときには何を大事にすればよいかといったものでした。

 

■利益の再配分

 

中小企業の社長さんですと、節税対策、決算対策を考える方も多いと思います。

 

役員報酬を利用する場合もありますが、事前確定で決めないといけないので、前もってどのくらいの利益が出るのかを予想するのはなかなか難しいでしょう。

 

決算賞与で社員に還元するのは一般的ですが、利益が出たからと言って、賞与算出のルールを飛ばして、無茶苦茶な金額を出すこともできないでしょう。

 

固定資産の処分、設備投資、人材投資もありますが、これもまた限度があります。

 

役員の退職金に充てるといっても、ちょうどいいタイミングで支払えるかは何とも言えません。

 

数年前までは全額損金で落ちる生命保険などが流行りましたが、国の介入により、なくなりました。そりゃそうです、加入して2,3年で解約することを前提にした保険なんて、保険じゃないですからね。

 

オペレーティングリースも有効と言えば有効ですが、これも結局は利益の繰り延べです。リース期間終了時に航空機やコンテナを売却する際には一気に利益が上がります。しかも、現在は戦争などにより購入した機材設備が破壊されるリスクもあります。

 

いろいろ書きましたが、結局のところ、利益をどんな風に再配分するかを考えても、限度があるということです。そのことをいくら考えても、それらは「守り」の姿勢と言えます。

 

 

私がその経営者にお伝えしたのは、

 

「利益というのは、事業の価値を社会に評価してもらう通信簿のようなものです。利益がでなければ、決算対策をあれこれ悩む必要もないのです。まずは、会社として利益が出たことを純粋に評価し、なぜそのような結果が出たのかをきちんと分析してみましたか?」

 

とお伝えすると、

 

 

「なるほど・・・」

 

と何かが頭に去来するものがあったようです。

 

決算対策しようと考えは度が過ぎれば、社長が内向きのマインドになり、組織としてチャレンジしていく姿勢も低下していきます。内部留保をため込む大企業にもそういう要因が潜んでいるのではないでしょうか?

 

決算時にどれだけの利益を出せたかは、会社を取り巻く環境によって大きく変わりますが、利益を出し続ける仕組み作りができているのかに目を向けることが大切なことだと思います。

 

また、中小企業であれば、一番の決算対策は、社長自身への投資と、ナンバー2になるような人材への教育投資ではないでしょうか?

 

■賞与の意味

 

もう一つの質問であった、賞与の決め方です。

 

これも、賞与というものを少し俯瞰してみてみましょう。

 

大手企業の夏のボーナス平均金額は、92万9,259円日本経済団体連合会が2022年6月に公表した「2022年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」第1回集計によると、大手企業105社における2022年夏のボーナス平均妥結額は、929,259円でした。2021年と比較して、13.81%も増加しています。

 

また、埼玉県産業振興公社が発表した埼玉県内中小製造業夏の賞与調査結果を見ると、平均支給予定額 417,707 円でした(前年同期比 8,749 円増)。

 

あなたは、自分が働く会社の状況と照らし合わせて、どんな感想をお持ちでしょうか?世の中、円安、物価高、燃料高と大変な状況ですが、マクロ的に見ると、結構利益が出ているように見えます。本当は、違うんですが・・・

 

賞与というのは、経営者と社員とでは、考えることが違います。

 

社員は、たくさんもらればそれに越したことはないでしょう。住宅ローンの支払いや、まとまった金額の買い物や旅行に使いたいという考えもあろうかと思います。

 

でも、ですよ!

ちょっと考えてみてください。

 

なぜ、毎年、ほとんどの会社では年2回、賞与が支給されるのでしょうか?

 

賞与(ボーナス)と聞くと、何か特別なもののように思いますが、そもそも日本の給与体系は賞与を含めた金額設定がされている構造になっています。企業側は給与額を簡単に下げることはできませんが、賞与であれば会社の業績によって金額を変更したり、払わないことも可能です。つまり、賞与というのは企業から見れば、利益の「調整弁」の役割を持っているのです。

 

社員も賞与が出ると、何か特別感を感じたりしますが、それってそもそも当たり前のことなのかと考えてみてもよいと思います。もしかしたら、給与が少なすぎるケースもあるのかもしれません。

 

アメリカの場合は、賞与は、管理職や中間層以上の、企業の収益アップに貢献したと考えられるごく一部の人しか受け取ることはできません。あとの社員は、ジョブディスクリプションに応じて、年収がほぼ決まっているのです。日本でも、成果報酬やジョブ型雇用が取り沙汰されていますが、企業ごとに給与体系を変えるだけでは十分でありません。

 

退職、転職、再雇用ができる雇用環境を企業としても社員としてもしやすいような制度やマインドの醸成がなければ、自由とは名ばかりの”浮浪ワーカー”が増えることを危惧するのは私だけでしょうか?

 

 

話が逸れましたが、賞与というのは、企業と社員とで思惑が異なります。

 

大切なことは、賞与とはどういう構造で生み出されるのか、そもそも自分の会社の事業は、何を提供していて、
どんな未来が待っているのかを経営者自身の言葉で語り尽くすことだと思います。

 

結論、

利益と賞与を生かすも殺すも、経営者の力量次第です。

 

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奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -