コラムコラム

二代目社長が陥りやすいマインドセットの罠

2021.02.11

サラリーマンを辞め、家業を継ぐようになってから、私は経営者や経営者を目指す方と知り合うことが多くなりました。自分自身の経験も踏まえてですが、二代目、三代目社長、後継者が陥りやすいマインドセットの罠というものがあります。

 

あなたは、「二代目社長」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか?

 

  • 先代と比較されるのが大変そう。
  • 親の敷いたレールを歩んでいるので苦労してなさそう。
  • 家族でビジネスをするのは大変そう。
  • 今までの常識を守ることと、新たな挑戦をすることとの葛藤がありそう。

 

いろいろな声があると思います。

 

 

私も10年前に、家業を継ぐことを周囲に漏らしたときに、

  • もったいない。なんで外資系コンサルから家業なんかに戻るの?
  • 家族経営、兄弟経営は大変そうだねー。
  • だいたい2代目、3代目は失敗するんだよ。

 

そんな声をたくさん頂きました。

 

私も陥ってしまったのですが、こういう「雑音」をたくさん聞いていると、知らず知らずのうちに、「二代目」であることから逃げたくなっていきます。そして、自信を失い、

 

  • 自分には二代目の資格がないのではないか?
  • 会社のことを考えているのに、誰も分かってくれない。
  • 二代目を好きでやっているわけではない。

 

という思考パターンに陥ります。

 

自暴自棄になったり、自己を卑下したり、周囲との距離を置こうとしたりします。先代や社員との関係も悪くなっていきます。まさに負の連鎖です。

 

*

創業者と比べて二代目社長というのは、事業にかける情熱や熱量が少ないことがあります。これは仕方がないことですし、別にそれ自体が良い悪いというわけではありません。裸一貫で会社を興し、会社を我が子のように成長させてきた創業者と、資金・顧客・経営資源などの事業基盤がある中で、会社を継いだ二代目とでは、根本的に会社に対する見方も違います。

 

例えば、「所有」か「共有」かという価値観の違いです。

 

創業者は、お金やお客がない事に対する恐怖を経験しているので、会社の「中」にヒト・モノ・金をとりこみ、それらを所有し、時には支配しようします。どちらかと言えば閉鎖的・封建的・保守的。

 

一方で、二代目社長は会社の「外」にあるものとつながろうとしますし、会社の「外」にあるものを会社に取り込もうします。どちらかと言えば、開放的・流動的・先進的。

 

これは、サラリーマンの方が転職・起業する場合にも同じ事が言えます。今いる環境と新しい環境に対する自分の向き合い方が異なるのです。どちらか一方を選ぶ際に単純に損得勘定で動こうとすると、なかなか決められません。この話はまたの機会にします。

 

 

話を冒頭に戻します。

 

二代目社長のイメージは、どうしてこうもマイナスなのでしょうか?
大企業やサラリーマンと比べて、何か劣ることがあるのでしょうか?

 

二代目社長、これから会社を継ぐことを考えている人はこう考えてみて下さい。

 

「会社を継ぐことは選ばれた人しかできない。」

 

 

冷静に考えてみると、会社を継ぐということは、非常に特殊なケースと言えます。周到な準備をして事業承継することもあるかもしれませんが、ほとんどの場合は、

 

 

  • 親や先代が急に亡くなった
  • 会社の業績が傾いたので急遽抜擢された
  • 誰かがやらないとその会社がなくなってしまう

 

という「異常事態」から始まっているということです。まさにコロナ禍の緊急事態宣言のようなものです。

 

そういう状況の中で、あなたが選ばれたということ、

そういう状況の中で、あなたがやってきたこと、

そういう状況、より良くしようと頑張っていること、

 

というのは本当に奇跡的なことですし、素晴らしい事だと思います。そのことに胸を張って良いと思います。大袈裟に言えば、あなたは異常事態を収束させるためにやってきた救世主のようなものなのです。

 

二代目社長は、自分のミッションや会社のミッションがぼやけてしまうと、マインドも弱くなってしまいますが、本当はすごいことをやってきていることに気づいていないだけなのです。今まで苦しんできた気持ちを吐露できないのであれば、ぜひ1度メンターなどに話してみて下さい。

 

二代目社長であるあなたは、本当にすごいと思います。
あなたの会社を、日本の社会をもっと元気にしていきましょう!

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -