コラム
2022.06.03
ようやくコロナ騒動もピークは越えそうですが、マスクをいつまでたっても外さない日本人は良くも悪くも真面目だと思います。
私は、コロナで世間が大騒ぎしている時でも、通勤途中で人がいなければマスクを外していました。お互い言葉を発しないシチュエーションであれば、わざわざマスクをする必要はありません。家族や知人からは、「マスクをつけたほうがいい!」と説教じみて言われることもありました。
でも、その根拠が「みんながやっているから」とか、「メディアで報道されているから」という理由で盲目的に押しつけるのは、本当に迷惑なことです。
「何が本当に大事なのか?」
それを自分の頭で考えるということなのだと思います。
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ここ数年のコロナ騒動で、経済と社会が停滞しました。さらに恐ろしいのは、私たちの心が折れて、思考停止になることです。
私のような中小企業に携わっている経営者の皆さんは本当に大変な状態にあると思います。資金繰り、社員への給与支払い、営業先の確保といった短期的な課題はもちろん、今後の事業の方向性をどうしたら良いか頭を悩ませていることと思います。
この時期の世相を一言で言えば、「冬眠」です。
移動、物流、商売、レジャーなどの活動が制限され、国、個人間のレベルで従来のつながりが分断されました。まさに経済活動の凍結、人間の営みの冬眠とも言えます。社会活動のスピードが落ち、必要なエネルギーを最小限にする動きです。それはスローモーションで映画を観ているような世界にいるのではないでしょうか?
ということは、こんな身動きが出来ない時だからこそ、ビジネスや社会の些細な変化を読み取れるチャンスでもあります。
行ききすぎたグローバリゼーションの中で現状を直視するには、瞬きをせずに動き回るか、目をつむって不条理な世界を見過ごしていたのかもしれません。しかし、今は瞬きをする度に、見える景色が変わっているのだと思います。
その変わる景色に対して、どんな風にビジネスを展開していくかを考え尽くすということではないでしょうか?
知性を振りかざしたり、
高邁な精神に酔うことなく、
それでも社会の矛盾に潔く分け入る。
そして、人の良識に問いかけながら、
新しいライフスタイルをつくることに邁進していきましょう。
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コロナウイルスが収束した頃には、生き残る会社とそうでない会社、生き残る社員とそうでない社員がより鮮明になると思います。どういうことかというと、今回の騒動で多くの方が、否応なしに自分の会社の根本的な弱点を認識したのではないでしょうか?
「一部の会社に原料・資材の調達が集中していた。」
「親会社から委託された仕事が減少した。」
「訪日客や特定の層のお客が激減した。」
端的に言えば、「依存しているもの」が露わになってきたということ。
もちろん今回のような騒動はそうそうあるものではありませんが、会社が倒産すれば社員も無職になり、新しい仕事を探さなければいけません。変化の激しい競争にさらされている中で、国や企業が長期的に社員を守るような構造が
もはや成立しない時代になってしまいました。
そういう背景を踏まえると、これから経営者にも社員にも求められるものは何でしょうか?
それは、「リーダーシップマインド」です。
リーダーシップとは何も経営者や経営幹部だけが持つものではありません。
社員もお父さんもお母さんも学生もおじいちゃんもおばあちゃんもすべての人が、自分の居場所で持ち合わせるべきものです。人生は、自分自身がリーダーとなって前に進めていく必要があるからです。
ビジネス環境の変化がスピーディーかつ複雑になっている現代では、社長1人で会社を舵取りすることは不可能です。会社と社員の関係も「主従」から「協働」へとシフトしています。会社が社員のために仕事を分け与える時代から、
社員が持ち帰る仕事を会社がプロジェクト化する時代になっているのです。
そう、仕事とは社員が生み出す信頼関係がの結晶化したもの。
今でも、社長が仕事を取ってくることもあるでしょうが、それだけでは会社は成長し続けることはできません。レベルの違いはあるにせよ、経営者だけでなく、社員自身も個人の成長と組織の成長を意識しながら働く時代に入っているのです。
そのことに気づき、リーダーシップマインドを醸成することにチャレンジする人が、増えていって欲しいと心から願っています。