コラムコラム

純真という刃

2020.10.22

「世の中まだまだ捨てたもんじゃない」
「なぜこんなことができるのだろう」

 

そんな風に強く思わせてくれた人は、今までに数えるくらいしか会ったことがありません。

 

人はなんだかんだ言っても、自分が大好きです。それ自体は悪いことではないですが、自己満足の域を出ない内は、ビジネスで結果を出すためのインパクトもイマイチなのではないでしょうか?

 

知性を振りかざしたり、高邁な精神に酔うことなく、それでも社会の矛盾に潔く分け入る。そして、人の良識に問いかけながら、新しいライフスタイルをつくることに邁進する。どこか頼りないけど、屈託のない生き様に惚れてしまい、自然と人が集まり応援してしまう。そんな令和時代のルフィー(ワンピース)のようなリーダーがこれからは増えていってほしいと思います。

 

 

私の知人で元狭山市議会議員の矢馳さんはそんな人です。

昨年は埼玉県会議員選挙に立候補をし、105票差で落選しました。地元狭山市のために恩返しをしたいということで、過去の華々しいキャリアを潔く捨てて戻ってきました。今までの活動を簡単に書いておきます。

  • 地域のいくつかの団体に所属し、市民とともに草の根活動を実施
  • NPO法人 まちのつながり推進室を立ち上げ
  • 子ども食堂や「アフリカンフェア」などのイベントを主催
  • ラジオ番組を持ち、地域で活躍している人を紹介
  • 自費での海外視察や外交活動を行い、市のセールスマンを行う
  • シンクタンク研究員として、市の活性化につながる知見を吸収

いつ寝ているのだろうかと思うほど、いつも動き回っています。有言実行の人であり、孤高の人でもあります。

 

子ども食堂も地道に続け、今までに55回開催しました。このコロナ禍でもテイクアウト弁当にして、多くの大人と子どもが集う場となっています。子どもの食事難や孤食に対する問題は、親の仕事や家庭の事情も関係していて非常に複雑です。しかし、「難しいことはひとまず置いておいて、温かい美味しい食事を提供することで子供たちが気持ちもお腹も温かくなる時間を過ごして欲しい」というやばせさんの言葉に、彼の純真さが垣間見えます。

 

やばせさんが行っているのは、まさに現代版寺子屋。そんなやばせさんが最近もう一つ、新しい事業を始めました。それは、中学生の学習支援です。今までにも小学生向けに勉強や遊びを教えていましたが、今回は事情があり学習が進まないひとり親世帯等の生徒を支援しています。大学生や塾講師が先生役です。

 

政府は仕事や教育のデジタル化を躍起になって進めていますが、人が人に直接教える昔ながらのスタイルはすごくいいなと思います。
微力ながら応援していければと思います。

 

このコロナ禍で多くの企業が守りに入る中で、目先の損得や自己満足の範疇を超えて、常識を変えていく人が増えていってほしいと思います。今大ブームになりつつある「鬼滅の刃」。その中あった言葉を思い出しました。

 

「誰よりも強靭な刃になれ!!」

 

刃で切るのではなく、自ら刃になる。己を磨き抜いて、未開の世界を切り拓いていきましょう。

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -