コラム
2021.07.22
いよいよ東京五輪が開幕しました。
ソフトボールの上野投手は、2004年のアテネ大会と2008年の北京大会の2大会連続でオリンピックに出場し、北京大会では、1人で準決勝、決勝と投げ抜き、日本に悲願の金メダル導きました。目標の金メダル獲得を達成したことで燃え尽き症候群のような状態になり、しばらくは代表からも距離を置いていましたが、東京五輪では「ソフトボールに恩返しする」という新たな思いで日本代表としてプレーすることを決意しました。
上野選手の並々ならぬ強い思いを感じます。自分を信じる強い信念です。
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ICHIDOのリーダー育成プログラムで、<1. 自己認識「問いを立てる」>のあとにやることは、<2. 自己受容「自覚と責任」>です。
ここでは、自分というものをいろいろな視点から観察します。
といった問いに向き合い、今の自分に影響しているものを受入れていくプロセスです。
今日はその中でも特に重要な「価値観」「信念」「信条」についてです。
冒頭の上野選手は、真面目で、責任感があり、チームメイトに対しても思いやりをもって接しているようですが、自分に対してこんな言葉を残しています。
人に負けてもいい。しかし、やるべきことを
やらない自分の弱さだけには絶対負けたくない。
芯の強い心をつくっていきたい。
「自分にだけは負けたくない、やるべきことは絶対にやる!」
これが上野選手の信念です。
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ビジネスにおいても、市場環境の変化が速く、未来の不確定要素が多い中では、誰かの考え方ややり方を真似しても、
良い結果が長続きすることはないでしょう。それに、誰かの辿った道を進んでも、全然面白くないでしょう。自分の心の内から湧き出るエネルギーがないと、結局は途中で飽きてしまうのです。
その心の内から湧き出るエネルギーの源泉が「価値観」です。
あなたが大切にしている、譲れない、拠り所にしている「世界」のことです。価値観は、あなたが目指す生き方を象徴するシンボルでもあります。自分自身への信仰でもあります。価値観が心に宿ると、気持ちが熱くなり、ワクワクし、やさしくなります。
価値観は、「誠実」「自己成長」「自由」「凛」「美」など、抽象度が高い短い言葉で表現したほうが、価値観を深めたり、価値観を広げる「余地」をつくるのでおすすめしています。
余談ですが、価値観と言えば、結婚した夫婦が離婚する理由に「価値観の不一致」を挙げますよね。価値観自体がはっきりしているようではっきりしていないものなので、それだけを理由にするのは本当はおかしいことなんです。当の本人たちもそれは分かっていると思います。
次に、「信念」。
これは、あなたが正しいと思っていること。心の内に秘めるものであり、貫くものです。行動を加速させる考え方で、強い信念は自分の軸を太く強くしていきます。少し古いですが、鬼滅の刃の煉獄杏寿郎が発した言葉には、彼の信念が込められています。
「俺は俺の責務を全うする」
「胸を張って生きろ」
「心を燃やせ」
最後に、「信条」。
これは価値観や信念を行動レベルまでより具体化したものです。
ルールであり習慣化していくべきことです。
価値観、信念、信条の例を挙げるとこんな感じになります。
価値観:自由、変化、挑戦
信念: 矛盾や葛藤の中に愛や成長がある
信条: 迷ったら難しいと思うものを選ぶ
価値観や信念は良くも悪くも自分の考えを固定化していくので、考えや行動を後ろ向きにさせるような思い込みは
捨てていくべきでしょう。
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価値観や信念も時には変わります。
変えなくてはいけない時もあります。
方法としては、
などがあります。
内省することは簡単そうで、案外難しいものです。しっかりと心の準備をし、やるべきことを明確にしないと習慣化することはできません。
フィードバックは、上司や尊敬する人、またはコーチやメンターからもらうと良いです。ただし、これもフィードバックする人の力量が問われます。気づきを与えるには深い洞察力と人生経験が求められるので、間違ったフィードバックをもらうとかえって自信をなくしてしまうことがあるので注意しましょう。
最後に環境の変化。これは、誰かの死や誕生、海外での生活、コロナウイルスのような疫病や大災害などを経験することで今までの自分の常識がひっくり返ることがあります。あなたも今までに価値観が大きく変わった出来事があったのではないでしょうか?
能力(これも偏った見方によるもの)偏重の社会から、価値観重視への社会に変わりつつあります。経営者であれば、社員やお客と価値観を共有することが、ビジネスの成長につながるでしょう。
価値観に沿って生きると、今抱えている問題の多くはなくなると思います。