コラムコラム

組織を強くするヒントが富岡製糸場にあった

2021.01.14

新型コロナウイルスの飛沫感染対策として、アクリル板をあちらこちらで見かけるようになりました。そのアクリル板を見て思い出したのが、富岡製糸場の見せる展示です。「どういうこと?」と思われたと思います。

 

 

でも、その前に・・・

このコロナ禍で中小企業が勝ち残るには、自社の強みを極限まで磨く必要がありますが、その方向性にはいくつかあります。大企業がやらないこと、やりたくないことを考えてみると、

 

  • 少人数
  • 小ロット
  • 小規模
  • 長期間
  • 多品種
  • 一品種
  • スピード対応
  • 手間暇かける
  • 多能工の社員
  • 地域密着

 

などあります。他にもまだまだいろいろと考えられます。これら強みの源泉を組み合わせて、商品やサービスに価値を乗せて、お客に届けるわけです。

 

 

方向性は、芸術であれば表現方法のようなもの。音楽、映画、絵画、写真、演劇・・・ どういった手段でお客を魅了するかということです。

 

今日は、「長期間」の方向性と関連する話をします。ネット社会、デジタル社会では、何かを保存するということが価値にもなり得ます。商品、サービス、建物、人、会社・・・それらをどのように存続させるかを考えるきっかけが富岡製糸場にありました。

 

 

私は昨年、世界遺産の富岡製糸場へ行ってきました。新1万円札の顔になる渋沢栄一も設立に尽力しました。国宝「西置繭所」の保存整備工事が完了し、運良く内部を見て回ることが出来ました。面白かったのは、その建物の構造です。

 

補強のための柱・梁を使って1階内部に設けるガラスの「ハウス・イン・ハウス」という手法です。それによってに構造補強用の鉄骨を骨組みとしたガラスの多目的ホールが誕生しました。それは今私たちの日常に溶け込んでいるアクリル板を想起させました。

 

それだけでなく、文化財建造物としての保存修理と同時に、公開活用のための耐震補強と整備を併せて行いました。保存修理が済んだ後に補強・整備工事をするのではなく、この三つを同時に検討し,リンクさせて設計を行うという発想が素晴らしいと思いました。保存・補強・活用を両立させた、まさに「見せる保存」です。

 

建物の内部に新しい柱・梁を用いて空間をつくり、見せるという、「ハウス・イン・ハウス」という考え方は、建物にだけでなく、組織やサービスにも応用できるのではないかと考えています。もちろん、ガラスをそのまま使うと言うことではなく、今あるモノの中に新しい価値をつくるという意味においてです。

 

業績が悪い、もう役に立たないという理由で、スクラップ&ビルドするのも一つですが、組織、サービスの中に、新たな組織やサービスを露わにさせることで、今まであったものの価値も見直せるのではないか、そんなことを考えています。入れ子構造にすることで、組織の強度やサービスの複雑性を増すことができるのではないかと。

 

この点については、もう少し整理して改めて書いてみたいと思いますが、何かご意見などあればぜひお聞かせ下さい。

 

 

最後に、年が明けて間もないので、ジョン・デンバーの言葉をご紹介します。

 

今日という日は、残された人生の最初の一日である。

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -