コラム
2022.03.04
プーチンのウクライナ侵攻は、どんな理由があるにせよ、許されるものではありません。彼には彼なりの理由があるのでしょうが、力による支配は、誰も幸せにしません。
彼の暴挙で唯一良いことがあるとすれば、それは、世界を一つの方向にまとめるきっかけをつくっていることかもしれません。東日本大震災を始め、世界中で起きている自然災害による被害、さらには新型コロナウイルス感染が、世界中で「あるもの」を共有する機運が高めています。
その「あるもの」とは、日常を維持するための危機感です。
今まで当たり前にあると思われた日常、その先にある幸せは、一人ひとりの努力がないと維持できなくなるという危機感です。
今までは、自分の外で起きた事件や事故があっても、どこか他人事であったことが多いと思います。それが、ここ2,3年、さらに今回のウクライナ侵攻により、
「他人事とは思えない。」
「何かしてあげたい。」
「世界は一つなんだ。」
という感覚を持つ人が増え、国境を超えたつながりが、いろんな所で、いろんな形で増えているのだと思います。
未来とは共有感をつくることですが、今の世界は、その共有感を望む方向につくれるか、その瀬戸際に来ているのだと思います。力による支配か、つながりによる支え合いか、その綱引きが行われています。
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共有感と言えば、これは組織の目標設定にも通じるものがあります。
私の会社では、最近、3カ年目標を設定し直しました。これは、2025年度中に実現する目標です。コロナや戦争など、先行きが不透明で、明日どうなるか分からない状況です。だからといって、目の前のことばかりにあたふたしているだけでは、結局、条件反射的な対応に終始し、未来をつくる前向きな流れに好転することはできません。
まずは目標を立てないと、具体的な行動も思いつきません。
ですが、目標を立てるだけでも上手くいきません。あなたは、そのことも理解しているのではないでしょうか?
そもそも「目標設定」とはどういうことなのでしょうか?
私がサラリーマン時代は、
会社→部門→チーム→個人
と目標がブレイクダウンされ、やれKPI(Key Performance Indicator)だ、やれPDCAだと、数字で管理することが目的化されていたことが多かったように思います。大きな組織では数字で管理することはある程度仕方がありませんが、管理する側が何のための数字なのかを見落としてしまうと、目先の利益に囚われることが多いのだと思います。
また、目標を設定する上で大切なことは、「目標=達成するもの」というマインドをどう醸成していくかということだと思います。
つい目標を設定しても、設定することで満足したり、「目標が達成できなくてもまぁ仕方ないか」と言い訳ができる環境にあるのであれば、目標を設定することにあまり意味がないのではないでしょうか?
そのためにも、目標の上位概念である「目的」を常日頃意識しておくことが大切になります。目的は、ミッション・ビジョン・価値観などに言い換えられるでしょう。最近であれば、パーパスでしょうか。
ただ、もう少しかみ砕いて言えば、目的とは「自分が実現したい世界」であり、「幸福感や充実感を得られる状態にすること」と言えます。
日本語には弓道から転用されたことばいろいろあります。「図星」「的確」「目的」「的中」「一矢を報いる」「白羽の矢を立てる」なども弓道用語です。「目的」という日本語が弓道から来ているのは、おもしろいですね。的を得ることが目的ではなく、的に囚われない真善美を追究することが本当の目的なのかもしれません。
目的は誰かに与えられるものではなく、本来与えるものです。自分自身の人生を謳歌するために、自分の目指す世界に向けて放たれるものです。経営者やリーダーであるあなたは、目的を与える側の人間になりましょう!
そのために必要なものは、想像力と行動力です。目的は標であり、目標は道です。目的と目標があって道標となり、自分がどこへ向かうのかが分かるのです。
ロバート・ケネディ は言いました。