コラム
2021.02.01
先日、部屋の片付けをしていたら、一枚のハガキが出てきました。20年ほど前にアメリカ留学時代の友人からもらったものです。その中の言葉に、目が行きました。
『自分のまだ見えていない部分を知るために、
足りないところに気づくために、
強さと優しさを教えてもらうために
様々な出会いを与えられてきたなぁと
しみじみ私は幸せ者だと思います。
様々な人たちの痛みや苦しみの上に
私の今があることも心に留めておきたい。
山々、星空、夕日、美しかった。
心の中に美しいものと思えるものや
大切だと思えるものをどんどん増やしていく。
それが自分を強め支えてくれるのでしょう。』
コロナ禍で、私たちが持っていたモノ、つくってきたモノがあっという間になくなりました。
お金、仕事、便利さ・・・
そして、身に纏っていた見せかけの幸せが、剥がれ落ちるような状態にいるのかもしれません。今までは、誰かが用意してくれた
仕組み・ルール・アイデアを借りる、まさに「借り物競走」のような時代でした。誰かのアイデアだけでなく、生き方まで借りて人生のゴールを目指すような、そんな構造が今でもあります。それもこれも、新卒一括採用、定年、終身雇用、年功序列といった制度が、人生のゴールを勝手に短くさせてしまったからです。
誰かのアイデアを借りるのは簡単です。でも、自分が貸すモノの価値の大きさによって、借りられるモノの価値も決まるようにも思いませんか?
山々、星空、夕日は、何も見返りを求めずに、わたしたちに美しさを与えてくれます。
そのハガキの最後には、灰谷健次郎さんの言葉がそっと載せてありました。
『あなたの知らないところに
いろいろな人生がある。
あなたの人生が かけがえのないように
あなたの知らない人生も
また かけがえがない。
人を愛するということは
知らない人生を知るということだ。』
こんな時だからこそ、今まで見落としていたものに、目を向けてみましょう。きっと、そこにあなたの知らない人生が開けるはずです。