コラム
2020.11.09
冬があり夏があり
昼と夜があり
晴れた日と
雨の日があって
ひとつの花が
咲くように
悲しみも
苦しみもあって
私が私になってゆく
星野富弘さんの詩画作品「悲しみの意味」の詩文です。詩文といっしょに、秋の日だまりに咲くサフランの花が描かれています。
星野さんは、不慮の事故で首から下の感覚をなくしました。お母さまの献身的な介護もあって、悲しみも苦しみも少しずつ乗り越えて、絵と言葉を一体化させたあたたかい作品を残しています。
アメリカの大統領戦の選挙結果がいよいよ出そうです。
自由と民主主義の国、アメリカ。そのアメリカは、赤と青、白人と黒人、と社会を「分断」させています。
グローバリゼーションの中で犠牲を被ってきた人たちの注意をそらすために、中国や移民を仮想敵にし、論点を単純化してポピュリズムをあおる。大統領候補の討論を見ると、闘犬や闘牛の戦いを私たちが見ているような感覚になります。もはやエンターテイメントの世界。まともな議論をしようにもその土俵にも上がれない。
分断の原因となる格差をつくったのは、国の経済政策や業界の規制・構造の問題であったにも関わらず、です。
GoogleやAmazonなどの新興ネット企業から、私たちは恩恵を十分に味わってきている一方で、既存の重工業や製造業は甚大なダメージを被っています。一方が栄えれば、もう一方が衰退する。それでも、どちらにも目を向けていかなければいけません。
離れる力よりもまとまる力のほうが強いと願います。「分断」を乗り越え、一つの花になることができることを。
日本もアメリカと同じように一部で「分断」の問題が見られますが、日本人ならではの、「忍耐」「改善」「継続」の精神を活かして、「分流」くらいになればいいと思います。
「分断」ではなく、「分流」。