コラムコラム

自己肯定感に囚われたら・・・

2020.11.05

先週、クライアントの一人(Aさん)と半年間にわたるコーチング契約が終了しました。

 

Aさんは一部上場企業に勤めていて、周りから見れば羨ましがられるほどのキャリアを持っていました。しかし、当の本人は自信がなく、キャリアの方向性が決まらずに悶々としていました。このコロナ禍で在宅勤務が増え、オンライン上で仕事をこなせることに不安や不満を持っていました。一言で言えば、自己肯定感が低い状態だったと思います。

 

セッション後の振り返りでは、自己対話を繰り返し行い、今まで目をそらしてきたことと向き合うことで、大きく成長できたと感じていたようです。

 

  • 自分の個性や強みを棚卸
  • 人間関係、健康、お金、環境、キャリア、生きがいなどの優先順位付け
  • 目指すべきリーダーシップ

こんなテーマについて、自己洞察してきました。

 

また、苦手分野と考えていた構想力や表現力もアウトプットを出す取り組みを継続したことで見違えるほどの変化が見られました。しかし、実はここから本当の自己洞察が始まるとAさんに伝えました。

 

 

よく、「自己肯定感が低い」という相談も受けます。

自分の性格や状況を周りの誰かと比較し、自分自身を信じられない、尊重できないという悩みです。確かに人は、自分が足りないモノに目が行きがちです。出来る方法よりも出来ない理由を探します。

 

しかし、そんなことを繰り返していると、どこかのタイミングで「これではダメだ!」と心から思う時が来るはずです。それまでは悩むだけ悩んだらよいのかもしれません。いくら誰かから素晴らしいアドバイスを受けても、自分が本気で変わろうと思わなければ、結局何も変わらないのですから。

 

 

「自己肯定感」を「自己高低感」と置き換えてみて下さい。

 

「あ~、今はちょっとうまくいっていないんだな~。」
「ま、しばらくすればよくなるだろう。」

そんな風に思えてきませんか?

 

自分も他人も悪い点と良い点をまとめて包含して、新たな見方をしてみると、「自己肯定感」という言葉も置き去りにすることができるようになると思います。自己洞察は、自分だけを見ていてはうまくいかないのです。今ある状況を変えようと思えば、自分自身が変わるだけでは何も変わらないと言っていいでしょう。

 

 

数年前、私が人生の転換期にいて悩んでいる時に、友人からもらった言葉を思い出しました。

 

 

 

運命が好転する前は、一時的に不安定期に入ります。

誰かと別れたり、何かをなくしたり、体調をくずしたり、何日も同じことを悩んだり、感情の起伏が激しくなったり、何もかもガタガタしますが、その後、ある時点で、すっかりすべてが落ち着いていて、びっくりするような高みに自分がいることに気づきます。

 

人生には「上昇のはざま現象」というのがあって、運命の変わり目にあたるそこでは、飛行機のエアポケットに入ったのと同じような状態が、人の生活の中にも起こることがあります。乱気流に巻き込まれ、ガタガタして飛行機が不安定飛行になるあの感じです。

 

そこでは、一生懸命飛ぼうにもバランスがうまくとれなかったり、テンションが上がったり下がったりして、まったく落ち着かない時間と場面を過ごします。

 

ところが、ある地点が来たとたん(上昇の膜の部分に来たとたん)瞬時にそこを突き抜けていて、一段上層界(それまで自分がいた世界よりも良い世界)に突入できてしまうのです。すると、それまでのすべてのことが穏やかに落ち着き、悠々とした安定飛行で高みをいくことができるようになっているのです。

 

すべての物事は落ち着くところに落ち着くまで、しっかり昇りきることができるまでは、不安や不安定の中を漂いながら移行するようになっています。運命がレベルアップする時はいつも、まず最初に不安定になることを知っていれば、何も怖がらずに、何も不安に思わずに、それを超えられると思います。

 

もし何かに悩んでいるとすれば、今、飛行機のエアポケットにいるのかなと思ってみてはいかがですか?今いる所を進めば、雲の間から晴れの光が差し込むと思います。

 

 

奥富 宏幸
\この記事を書いた人/ リーダーシップ&キャリアデザイナー

奥富 宏幸 - Hiroyuki Okutomi -