コラム
2020.10.15
200円のハンバーガー、3,000,000円の高級腕時計。自分が価値を感じれば、お金を払うと思います。そんなお金ですが、お金と生活の自由度は大いに関係します。
小学生の頃、床屋に行くと2,000円くらい払うのですが、サービスで50円もらえるのが本当にうれしかった思い出があります。
「このお金は自分で自由に使えるんだ!」って思ったものです。
社会人になり、「お金を頂く」こと、さらに「セールス」することについて考えるようになりました。
ハンバーガーや高級腕時計なら商品が目に見えますし、味や機能も説明できます。一方で、保険やコンサルティングでは、お客様にサービスのカタチや成果が見えにくいですし、他社との差別化も難しいと、一般的には言われています。
ふと、私が今までセールスしてきたものを思い出してみますと、
とモノを売ることはありませんでした。目に見えないもの、形のないものを売ることに自然と関心があったのかもしれません。
商品の形がないものを売る場合、お客様にサービスの存在を知ってもらい、購入するメリットを感じてもらわなければなりません。
「サービスを受ける前と受ける後で、お客さまにどんな良いことがあるのか?」を真剣に考える必要があります。
私がいろいろな会社でセールスをする時に、常に意識してきたことがあります。
それは一言で言えば、「俯瞰力」です。
物事を個別具体的に見るのだけでなく、構造的に捉えて抽象化する。抽象化したエッセンスを、仕組みや施策に落とし込むということ。「木を見て、森を見て、木を見ず」です。俯瞰力を高めると、セールスの目的も変わってきます。自分や会社の売上といった近視眼的なゴールだけにとらわれなくなるでしょう。詳細は、また別の機会に書こうと思います。
セールスの手法も時代につれて変遷しています。
確かに、「商品そのものではなく、付加価値を売れ」といったことはよく耳にします。最近であれば、体験、ストーリー、ライフスタイル、関係性など・・・。
何を買うかではなく、誰から買うかが重要だから、セールスする人の人格や生き方を高めましょう、といった考えもあるようです。しかし、その考え方自体もセールス色を隠そうとする「意図」が見え隠れしてしまいます。では、どうするか?
私は、セールスを顧客と交わす「約束」ととらえてみたいと思います。その「約束」は、顧客自身も人や社会に何かを与える義務のようなものではないかと。ネット社会が進み、顧客自らが必要な情報を取りに行くことで必要な価値に辿り着ける環境があります。それは、社会に対して、より主体的に自由に参加する権利が増えたということではないかと。
セールスはクロージングが目的と考えられていましたが、そうではない。セールスとは顧客が社会が成立するために義務を負う出発点(オープニング)ではないかと。
話が逸れますが、最近セールスで大きな結果が2つ出ました。契約まで辿り着いた理由として、「顧客の緊急性(必要性)が高い」ことと「権威の力を借りた」ことがあるように思います。私自身の努力の賜物というよりは、売れる構造がそこにあったように思います。その構造を俯瞰できるかが重要だったのではないかと。
最近見つけた、糸井重里さんの言葉は、セールスについて再考する良いきっかけになりました。
市場原理というけど、市場が人間によってできていることを忘れてはいけません。
人がモノを買うのは、買う喜びを買うから。
引用 日経MJ 9月30日(水曜日)
いつでも「俯瞰」です。セールスは、ビジネスの最上位にある概念です。