コラム
2021.08.05
今日は「運命」について少し考えてみましょう。あなたは「運命」というものがあると思いますか?
私は会社を経営している立場ですので、事業を継続し、社員に給与を払うために、何をしていくべきか頭をフル回転させています。先日、ある塾経営者からコロナウイルスの影響で廃業するので、チラシやパンフレットを回収してもらえないかという問い合わせがありました。
飲食業、観光業、レジャー産業だけでなく、経営体力がない個人事業主は本当に厳しいと思います。
自己啓発の世界ではよく聞く「原因と結果の法則」。
人格や環境、成功といった自分の外側にあらわれる「結果」は、すべて内側にある「原因」によってつくられている、というもの。自分の外の世界(結果)を変えるには、自分の内面(原因)を変えなければならないというのは、一見その通りかなと思うかもしれません。
しかし、それは成功を他人任せにする弱者の逃げ口上でありますし、そういう都合の良い考えをつくり、弱者から金を巻き上げる似非強者(真の強者は搾取はしません)の思うつぼでしかありません。
いくら自己分析をしたり、自分の内面を深掘りしたりても、外の環境に働きかけないと、結局、世界は1mmも変わらないのですが、多くの人は今置かれた現状を他人や環境のせいにしてしまいます。そうして、自分を慰めることで、現実から逃避するということを自ら選んでいるのです。私もそういうことが時々あります。
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冒頭の話に戻ります。
今回のコロナウイルス禍は、誰も予期できなかったことだから、会社の業績が下がっても仕方ないと考えてしまうのも理解できます。
「自分の努力が足りなかったから。」
そういう言葉で片付けられる問題ではないと言いたくもなるでしょう。
それでも、それでもです。
こんな状況だからこそ、会社の真の存在価値が問われるのだと思います。自分の運命と向き合い、自ら運命を切り拓かないといけません。
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都内では、不要不急の外出を控えるよう外出自粛の要請が出ています。
ニュース番組で、仕事がまったくないオーケストラ奏者が、こんなことを言っていました。
「私たちの仕事は不要不急の仕事ではないんですね。なんか寂しいです。」
確かに、今のような緊急事態では、なかなかコンサートへ行く人はいないでしょう。しかし、音楽の価値というのは、何もコンサートホールだけにあるのではありません。そのオーケストラ奏者は、各自のパートを動画で撮影し、編集して、バーチャルのオーケストラをつくってネット上で演奏するアイデアを思いつきました。
あなたは、映画「タイタニック」で、沈みゆく船の上で乗客のためにバイオリンを奏でたシーンを覚えていますか?私はあのシーンを観て泣いてしまいましたが、音楽の価値の一端を垣間見ることができました。
あのような絶望的な状況であれば普通の人は、自分の命の心配をしてしまうと思いますが、バイオリンを弾いた音楽家らは、自分の仕事を最後まで全うしたのです。彼らはどんな気持ちで演奏していたのでしょうか?
結局、どんな状況であっても、自分の外の世界へ働きかけることはできるのです。
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運命とは何か?
私は、「決断したことを信じること」だと考えます。
目の前に起きた全てのことを運命とするならば、全てではないにしろ、その多くは自分が何らかの決断をして行動した結果、起こったこと。
いろんな選択肢の中から一つを選び、今があります。
運命の人も、結局自分がたくさんの人の名から決断して選んだ人。別の見方をすれば、運命の人というのは、今自分の目の前にいる人。家庭でも、会社でも、コミュニティーでも、目の前にいる人が運命の人。
さらに自分が下した決断を信じ切ることで、運命の純度のようなものが高まる気もしています。
もちろんいくら力を尽くしても願いが成就しないこともありますが、納得いく決断を増やすと、運命に近づくのではないかと思います。
また運命は、「いのちを運ぶ」と書きますが、これはどういうことでしょうか?
昨年、アメリカでジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられ死亡した事件がありました。本当に痛ましい事件ですが、その後、人種差別への世界的な抗議活動へとつながりました。
自分の人生を変えるものも「運命」ですが、多くの人の人生に影響を与える「運命」もあると思います。フロイドさんの命は、多くの人の命の源になったようにも感じます。
そういう意味では、運命は引き寄せるものでもあるし、つくっていくものでもある、というのが現時点での私の考えです。
あなたは、「運命」についてどんな風にとらえていますか?